
NBAを見ていると、どうしてもスター選手に目が向きます。
ボールを持つ時間が長く、得点を決め、試合の勝敗を左右する。
ニコラ・ヨキッチ、ヤニス・アデトクンボ、レブロン・ジェームズのような選手たちは、当然ながらチームの中心です。
しかし、バスケットボールは5人でプレーするスポーツ。
スターが一人いるだけでは、チームは完成しません。
スターの隣には、
シュートを決める選手。
相手のエースを守る選手。
ゴール下を守る選手。
スクリーンをかけて走る選手。
スペースを作る選手。
そして、数字には表れにくい仕事を引き受ける選手がいます。
【スライド挿入:①「スターの周りの4人は何してる?」】
今回の「NBAの見方」では、そんな選手たちを表す言葉の一つ、
「ロールプレイヤー」
について見ていきます。
【NBAの見方 #3】ロールプレイヤーとは? スターを支える「もう一つの主役」たち
ロールプレイヤーとは?
ロールとは、「役割」という意味。
ロールプレイヤーとは、チームの中で求められた役割を担う選手のことだ。

ここで大切なのは、
「ロールプレイヤー = スターではない選手」
というだけではないこと。
重要なのは、
「そのチームの中で、何を任されているのか」
という点にある。
たくさん得点することが、その選手の仕事とは限らない。
相手のエースを守る。
3ポイントを決める。
リバウンドを取る。
ゴール下を守る。
スクリーンをかける。
スペースを作る。
スターがプレーしやすい状況を作る。
こうした仕事も、勝つためには必要になる。

3&D|外から決めて、相手の主力を守る
2023年のデンバー・ナゲッツ。
チームの中心には、ニコラ・ヨキッチとジャマール・マレーがいた。
その横で重要な役割を担っていた一人が、ケンテイビアス・コールドウェル=ポープ、KCPだ。
KCPの大きな武器は、
3ポイントシュートとペリメーターでのディフェンス。
こうしたタイプは、
「3&D」
と呼ばれる。
「3」は3ポイント。
「D」はディフェンス。

スターがドライブやパスで相手の守備を引きつけたとき、外で待ってシュートを決める。
そして守備では、相手の危険なガードやウイングを担当する。
自分が大量にボールを持つ必要はない。
むしろ、
スターがボールを持つチームだからこそ、ボールを持たない時間に価値を出せる。
それが3&Dという役割の大きな特徴だ。
リムプロテクター|ゴールの近くを守る
2011年のダラス・マーベリックス。
チームの中心は、ダーク・ノビツキー。
そしてインサイドを支えたのが、タイソン・チャンドラーだった。
チャンドラーの大きな仕事の一つが、
ゴール付近を守ること。
こうした選手は、
「リムプロテクター」
と呼ばれる。

リムプロテクターというと、ブロックショットの数だけをイメージしやすい。
しかし、役割はそれだけではない。
相手がドライブしてきたときにゴールの近くで待つ。
簡単なレイアップを打たせない。
相手にシュートを変更させる。
ドライブそのものをためらわせる。
ブロックとして記録されなくても、相手の攻撃に影響を与えている場面は多い。
ノビツキーが攻撃で中心となる一方で、
チャンドラーは反対側のゴールを守る。
役割の違う選手が組み合わさることで、チームとしてバランスが生まれる。
リムランナー|リングへ向かって走る
2013年のマイアミ・ヒート。
レブロン・ジェームズ。
ドウェイン・ウェイド。
クリス・ボッシュ。
スターが揃ったチームで、ベンチから重要な役割を担っていた一人が、クリス・アンダーセンだ。
アンダーセンは、自分で長時間ボールを持って攻撃を作るタイプではない。
スクリーンをかける。
そこからリングへ向かって走る。
パスを受けてゴールの近くでフィニッシュする。
こうした、
リングへ向かって走り込むことを武器にする選手は、
「リムランナー」
と呼ばれる。

ボールを持っていない時間でも、リングへ走ることで相手の守備を動かせる。
守備側のビッグマンがアンダーセンについていけば、ボールを持っているスターへの対応が難しくなる。
逆にスターへ寄れば、アンダーセンがゴールの近くでフリーになる。
スターがボールを持つチームだからこそ、
ボールを持たずに動く選手の価値が高くなる。
ストレッチビッグ|ビッグマンが外へ広がる
同じビッグマンでも、
ゴール付近へ走る選手とはまったく違う仕事をする選手もいる。
2021年のミルウォーキー・バックス。
ヤニス・アデトクンボの横でプレーしていたのが、ブルック・ロペス。
ロペスはセンターでありながら、
3ポイントラインの外からシュートを打つことができる。
こうした選手は、
「ストレッチビッグ」
と呼ばれる。
センターの場合は、
「ストレッチ5」
と呼ばれることもある。

ビッグマンが外にいると、相手のセンターもゴール下だけを守っているわけにはいかない。
ロペスを守るために外へ出れば、
ゴール付近にスペースが生まれる。
そのスペースへ、ヤニスのような選手がドライブする。
つまり、
ロペス自身がボールを持っていないときでも、
「外からシュートを決められる」
という存在そのものが、スターの攻撃を助けている。
グルーガイ|チームをつなぐ選手
役割を一つの言葉だけでは説明しづらい選手もいる。
2012年、2013年とマイアミ・ヒートで優勝したシェーン・バティエ。
3ポイントを決める。
相手の主力を守る。
身体を張る。
スクリーンをかける。
ルーズボールに飛び込む。
そのときチームに必要な仕事を引き受ける。
こうした選手は、
「グルーガイ」
と呼ばれることがある。

グルーとは接着剤。
スターとロールプレイヤー。
攻撃と守備。
スタメンとベンチ。
そうしたチームのさまざまな部分をつなぐ存在というイメージだ。
得点ランキングを見ただけでは、
その価値が分かりにくいことも多い。
しかし試合を見ていると、
「なぜこの選手が長い時間コートにいるのか」
が少しずつ見えてくる。
ロールプレイヤーは一つの役割だけではない
ここまで、
3&D。
リムプロテクター。
リムランナー。
ストレッチビッグ。
グルーガイ。
という役割を紹介した。

ただし、
NBAの選手を一つの箱に完全に分けられるわけではない。
たとえばブルック・ロペス。
攻撃ではストレッチビッグとして外からシュートを打つ。
一方で守備では、ゴール下を守るリムプロテクターとしての能力も高い。
KCPも同じ。
3&Dという言葉で特徴を説明することはできるが、
実際にはトランジション、カット、ボールムーブメントなど、他にも多くの仕事をしている。
ロールプレイヤーという言葉は、
選手を分類するための絶対的なラベルではない。
試合を見るときに、
「この選手は何を任されているのか」
を考えるためのヒントとして使う方が分かりやすい。
スターの隣にいる選手を見てみる
次にNBAを見るとき、
まずは好きなスター選手を見てみる。
そして、そのスターがボールを持った瞬間に、
周りにいる4人にも目を向けてみる。
外で待っている選手は誰か。
スクリーンをかけているのは誰か。
リングへ走っているのは誰か。
相手のエースを守っているのは誰か。
ゴール下を守っているのは誰か。

そうやって見ていくと、
スター以外の選手にも、
それぞれコートにいる理由があることが見えてくる。
「誰がすごいか」から「何をしているか」へ
「NBAの見方」第1回では、シックスマン。
第2回では、ローテーション。
そして今回は、ロールプレイヤーについて紹介しました。

スタメン以外にも重要な選手がいる。
その選手を、
いつ、
誰と一緒に使うのかにも意味がある。
そしてコートに出た選手には、
それぞれ違った役割があります。
今回紹介した、
3&D。
リムプロテクター。
リムランナー。
ストレッチビッグ。
グルーガイ。
これらはNBAで使われる役割の一部にすぎません。

今後の「NBAの見方」では、
こうしたプレイヤータイプを一つずつ取り上げながら、
実際の選手やプレーと一緒に詳しく見ていきます。
スターの名前を覚えたその次は、
その周りにいる選手が何をしているのか。
そこにも注目してみてください。
NBAは、少し違った形で見えてくるはずです。
最後に
NBAの見方シリーズの第3弾です。
ここからロールプレイヤーのタイプ毎の動画を制作予定です。
自分で認識している選手も改めて整理してみると面白い発見がありそうで、製作が楽しみです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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