
NBAを見るとき、まず注目するのはスターティングラインナップの5人ではないでしょうか。
エースは誰なのか。
ポイントガードは誰なのか。
センターは誰なのか。
もちろん、スタメンを見るだけでもチームの形はある程度見えてきます。
ただ、今回注目したいのはその5人ではありません。
ベンチから登場する、もう一人の主力。
「シックスマン」です。
シックスマンを知ると、それまで単なる「スターターの休憩時間」に見えていた時間帯から、コーチが48分間をどう組み立てているのかが少しずつ見えてきます。
今回はシックスマンとはどんな選手なのか、なぜ良い選手をあえてベンチから起用するのか、そして実際のNBA観戦ではどこを見ればいいのかをまとめていきます。
【NBAの見方 #1】シックスマンとは? なぜ主力選手をベンチから起用するのか
シックスマン=チームで6番目に上手い選手?
「シックスマン」という名前だけを見ると、
スタメン5人の次=チームで6番目に上手い選手
というイメージを持ちやすい。
ただ、実際はそこまで単純ではない。
基本的にはベンチスタートしながら、主力として大きな役割を任されている選手をシックスマンと呼ぶ。
必ず6番目にコートへ入るわけでもなければ、スターターより出場時間が短いとも限らない。
NBAにはシックスマン・オブ・ザ・イヤーという個人賞まで存在しており、ベンチから試合に入る主力は一つの役割として確立されている。
つまり、
スターターではない=重要ではない
とは限らないということ。
ここがシックスマンを見るうえで、まず押さえておきたいポイントになる。

なぜ良い選手をベンチから起用するのか?
理由を考えるうえで重要なのが、
NBAの試合は48分間ある
ということ。
どれだけ優れたスターターでも48分間ずっと出場することはできない。
当然、エースにもベンチで休む時間がある。
問題はその時間。
エースがコートからいなくなった瞬間、それまで機能していたオフェンスが急に止まってしまうチームもある。
そこでシックスマンの存在が重要になる。
スターターと出場時間を少しずらし、ベンチメンバーが増える時間帯にも主力級の選手を一人残しておく。
そうすることで、
スターター → シックスマン → スターター
と、48分間をつなげられる。
良い選手なのにベンチに置かれているのではなく、
良い選手だからこそ、スターターとは違う時間帯を任されている
ケースもあるということだ。

ルー・ウィリアムズ|得点を作るシックスマン

この役割を非常に分かりやすく体現していたのが、ルー・ウィリアムズ。
ベンチから登場すると、自分でボールを持ち、ピック・アンド・ロールを使いながら攻撃をスタートできる。
シュートへ行く。
ドライブする。
ファウルをもらう。
味方へチャンスを作る。
「とりあえずルーにボールを渡せば、そこから攻撃を始められる」
そんな選手がベンチにいるだけで、スターターを休ませる時間はかなり作りやすくなる。
ルー・ウィリアムズは2014-15、2017-18、2018-19シーズンにシックスマン・オブ・ザ・イヤーを受賞している。
典型的な「得点型シックスマン」の一人と言える。
マヌ・ジノビリ|スターター級でもベンチから出る

もう一つ分かりやすい例がマヌ・ジノビリ。
ジノビリはサンアントニオ・スパーズの黄金期を支えた中心選手の一人であり、能力だけを考えれば当然スターターとして使える選手だった。
それでも、多くの試合でベンチから登場した。
2007-08シーズンにはシックスマン・オブ・ザ・イヤーも受賞している。
ここで大切なのは、
ベンチスタートだから、試合の最後までベンチにいるわけではない
ということ。
試合開始からすべての主力を同時に使うより、途中からジノビリを投入することで48分間のバランスを作る。
そして勝負どころになれば、主力としてコートに立つ。
この考え方を知っておくと、
STARTING 5とBEST 5は必ずしも同じではない
ということが見えてくる。
シックスマンにもいろいろなタイプがいる
シックスマンというと、ルー・ウィリアムズのような「ベンチから点を取るガード」が最初に浮かびやすい。
ただ、役割はそれだけではない。
ナズ・リード|サイズ+外からの攻撃
ナズ・リードはビッグマンのサイズを持ちながら、外からも攻撃できる。
インサイドだけではなく、外へ広がることでスターターとは違った攻撃の形を作ることができる。
2023-24シーズンにはシックスマン・オブ・ザ・イヤーを受賞した。
アンドレ・イグダーラ|守備+つなぎ
さらにタイプが違うのが、ウォリアーズ時代のアンドレ・イグダーラ。
得点を量産することだけが役割ではない。
守備。
ボール運び。
パス。
ゲームメイク。
試合の流れをつなぐことで価値を出すタイプだった。
2014-15シーズンにはレギュラーシーズンでベンチ役を受け入れながら、NBAファイナルでは途中からスターターへ変更され、最終的にファイナルMVPを獲得している。
シックスマンが「控え」という言葉だけでは説明できない好例だ。
シックスマンは「足りない武器」を持ち込む
3人を並べると違いが分かりやすい。
ルー・ウィリアムズ
→ 得点を作る
ナズ・リード
→ サイズ+外からの攻撃
アンドレ・イグダーラ
→ 守備+ゲームをつなぐ
つまり、
シックスマン=得点型ガード
ではない。
そのチームのスターターに足りないものを補い、途中から違う武器を持ち込む。
それもシックスマンの大きな仕事になる。

実際のNBA観戦で見る3つのポイント
ここからが、今回一番伝えたい部分。
知識として「シックスマンとは何か」を覚えるだけではなく、実際の試合で少しだけ見る場所を変えてみる。
注目したいのは3つ。
① 第1クォーター|最初に入るのは誰?
まず見てほしいのが、第1クォーター最初の交代。
スターターの誰が下がるのか。
そして、
誰がベンチから最初に入ってくるのか。
毎試合必ず同じとは限らないが、早い段階で投入される選手を見ることで、その日のローテーションやコーチの優先順位が少し見えてくる。
スターター紹介だけ見て終わらず、最初の交代まで見てみる。
これだけでもチームの見え方は変わる。
② エースが下がった後|誰がボールを持つ?
次に注目したいのが、エースがベンチへ下がった瞬間。
それまでエース中心だったチームで、
次は誰が攻撃を始めるのか。
ボールを持つ回数が増える選手。
シュート本数が増える選手。
ピック・アンド・ロールの中心になる選手。
ここを見る。
すると、それまで「ベンチメンバーが出ている時間」にしか見えなかったものが、
主力を休ませながら、どうやって攻撃をつないでいるのかを見る時間
に変わってくる。
③ 最後の5分|誰がコートに残っている?
そして一番面白いのが第4クォーター。
試合開始時のスターター5人が、そのまま勝負どころでも使われているとは限らない。
シックスマンが残り、スターターの誰かがベンチに座っていることもある。
つまり、
STARTING 5とCLOSING 5は違う可能性がある。
だからスターティングラインナップだけを見て、そのチームの「ベスト5」を決める必要はない。
誰が最初に出るのか。
それと同じくらい、
誰が最後に残るのか。
勝負どころの5人を見ることで、コーチがその日に最も信頼している組み合わせが見えてくる。
ベンチを見ると、NBAの見え方が少し変わる
シックスマンを知ると、ベンチメンバーが出てくる時間が単なる休憩時間ではなくなります。
第1クォーターで最初に入ってくるのは誰なのか。
エースが下がった後、誰がボールを持つのか。
そして最後の5分、誰がコートに残っているのか。
そこまで見ていくと、それまで「控え選手」だと思っていた一人が、実はそのチームに欠かせない存在だったことに気づくかもしれません。
シックスマンは、6番目の選手ではない。
48分間をつなぐ、もう一人の主力。
次にNBAを見るときは、スタメン5人を確認したあと、ぜひベンチにも少し注目してみてください。
今までとは少し違った試合の見え方になると思います。

最後に
今回新たなシリーズを始めてみました。
この動画が皆様のNBA観戦がさらに楽しくなる一助になったら幸いです。
個人的には一番初めにしっかり見始めたシーズンでこのシックスマンという概念を私に教えてくれたのはボビー・ジャクソン(当時SAC)でした。
おかげさまでスモールガードで得点できるシックスマンが大好きになりました。
そのボビー・ジャクソンは、2025-26シーズンまでSACでアシスタントコーチを務めていましたが、2026年夏にチームを離れることが報じられています。
次のキャリアにも注目しています。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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