
NBAの歴史には、今でも「あの出来事が起きていなかったら」と考えてしまう瞬間があります。
その代表的な出来事の一つが、2012年のプレーオフで起きたデリック・ローズの大怪我です。
史上最年少でシーズンMVPを受賞し、シカゴ・ブルズを再び優勝候補へと押し上げたローズ。
もし、あの日ローズが怪我をしていなかったら、ブルズとNBAの歴史はどのように変わっていたのでしょうか。
ORVEOの「NBAマルチバース」第1回では、2012年4月28日を分岐点として、ローズが健康なままプレーオフを戦った世界を観測しました。
この記事では、動画内で実施したサイコロの割り当てと、そこから発生した世界線を振り返ります。
記事後半では、おまけとして、動画制作初期に存在していた別ルート「Prototype 001」も紹介します。
※この記事は、実際の出来事や当時のチーム状況をもとにした仮想考察です。
デリック・ローズが怪我をしなかった世界【NBAマルチバース #001】
現実世界で起きたこと
2011-12シーズンのシカゴ・ブルズは、ロックアウトによって66試合に短縮されたレギュラーシーズンを50勝16敗で終了した。
ブルズはリーグ最高勝率を記録し、イースタン・カンファレンス第1シードとしてプレーオフに進出。
前年に史上最年少MVPとなったデリック・ローズを中心に、ルオル・デン、ジョアキム・ノア、カルロス・ブーザーらを擁したブルズは、優勝候補の一角とみられていた。
しかし、2012年4月28日。
フィラデルフィア・76ersとのプレーオフ1回戦第1戦、その試合終盤にローズが左膝のACLを断裂した。
エースを失ったブルズは、その後ジョアキム・ノアも負傷。
シリーズを2勝4敗で落とし、プレーオフから姿を消した。
ブルズが優勝を狙える立場から転落し、ローズ本人のキャリアも大きく変わった瞬間だった。
今回発生する分岐点
今回観測する世界線では、2012年4月28日にローズのACL断裂は発生しない。
ローズは健康な状態で第1戦を終え、そのままプレーオフを戦い続ける。
現実世界から変更するのは、怪我が起きなかったという一点のみ。
そこから先の試合結果や選手の決断については、事前に選択肢を設定し、サイコロによって決定する。
NBAマルチバースのサイコロルール
NBAマルチバースでは、試合結果やFA選手の意思など、選手やチームが完全にはコントロールできない出来事をサイコロで決定する。
サイコロを振る前に、1から6までの出目にそれぞれ結果を割り当てる。
出た結果を見てから振り直すことはない。
どのような目が出たとしても、それが観測対象となる世界線の歴史となる。
ローズが健康なブルズはPHIを突破
ローズが怪我をしなかったブルズは、プレーオフ1回戦でフィラデルフィアを4勝2敗で撃破した。
現実世界では、ローズを失ったブルズが第6戦で敗退している。
しかし、エースが健康な状態であれば、レギュラーシーズンでリーグ最高勝率を記録したブルズがシリーズを突破する可能性は十分にあったとみられる。
ブルズはカンファレンス準決勝へ進出。
その後、ボストン・セルティックスも突破し、マイアミ・ヒートとのカンファレンスファイナルへ進んだ。
ここから先の結果は、サイコロによって決定する。
サイコロ①|ブルズはヒートに勝てるのか
カンファレンスファイナルの相手は、レブロン・ジェームズ、ドウェイン・ウェイド、クリス・ボッシュを擁するマイアミ・ヒート。
最初のサイコロでは、ブルズがヒートに勝利できるかを決定した。
| 出目 | 結果 |
|---|---|
| 1 | ヒート勝利 |
| 2 | ヒート勝利 |
| 3 | ヒート勝利 |
| 4 | ブルズ勝利 |
| 5 | ブルズ勝利 |
| 6 | ブルズ勝利 |
実際に出た目は「5」。
この結果、ブルズがヒートを破る世界線が採用された。
採用された世界線では、シリーズは第7戦までもつれる展開となった。
ローズ率いるブルズが4勝3敗でヒートを撃破し、NBAファイナル進出を決定。
ローズと、レブロン、ウェイド、ボッシュのビッグ3が、カンファレンスファイナル第7戦で激突した。
現実世界では実現しなかった、イースタン・カンファレンスの頂点を懸けたシリーズとなった。
NBAファイナルはCHI対OKC
ブルズがNBAファイナルで対戦するのは、オクラホマシティ・サンダー。
サンダーには、ケビン・デュラント、ラッセル・ウェストブルック、ジェームズ・ハーデン、サージ・イバカらが所属していた。
若い才能を中心に勢いに乗るサンダーと、ローズを中心に完成度の高い守備を築いていたブルズ。
現実世界では実現しなかった組み合わせによって、2011-12シーズンのNBAチャンピオンを決定する。
サイコロ②|ブルズは優勝できるのか
NBAファイナルの勝者は、次の割り当てで決定した。
| 出目 | 結果 |
|---|---|
| 1 | サンダー優勝 |
| 2 | サンダー優勝 |
| 3 | サンダー優勝 |
| 4 | ブルズ優勝 |
| 5 | ブルズ優勝 |
| 6 | ブルズ優勝 |
実際に出た目は「1」。
オクラホマシティ・サンダーがNBAチャンピオンとなった。
シリーズ結果は、サンダーの4勝2敗。
この世界線のローズは、怪我を回避してブルズをNBAファイナルまで導いた。
しかし、デュラント、ウェストブルック、ハーデンを擁する若きサンダーに敗れ、自身初のNBAチャンピオンには届かなかった。
ローズが怪我をしなければ、すぐにブルズが優勝していた。
そのような都合のよい結末ではなく、ファイナルまで進みながら敗れる結果となった点も、サイコロで歴史を決定するNBAマルチバースならではの展開となった。
ローズの怪我回避がFA市場にも影響
ブルズがヒートを破り、NBAファイナルへ進出したことで、オフシーズンにも歴史の変化が発生した。
その対象となったのが、ボストン・セルティックスからFAとなったレイ・アレン。
現実世界では、レイ・アレンは2012年のオフにマイアミ・ヒートへ移籍した。
その後、2013年のNBAファイナル第6戦で歴史的な同点3ポイントシュートを決め、ヒートの連覇に大きく貢献している。
しかし、ブルズがヒートを破った世界線では、アレンから見た両チームの立場も変化する。
NBAファイナルへ進出したブルズは、現実世界以上に魅力的な移籍先になっていた可能性がある。
サイコロ③|レイ・アレンはどこへ移籍するのか
レイ・アレンの移籍先は、次の割り当てで決定した。
| 出目 | 移籍先 |
|---|---|
| 1 | マイアミ・ヒート |
| 2 | マイアミ・ヒート |
| 3 | マイアミ・ヒート |
| 4 | シカゴ・ブルズ |
| 5 | シカゴ・ブルズ |
| 6 | その他のチーム |
実際に出た目は「5」。
レイ・アレンがシカゴ・ブルズへ加入する世界線が採用された。
ブルズは、ローズのドライブと相性のよいアウトサイドシューターを獲得。
ローズがペイントエリアへ侵入し、守備が収縮したところでアレンが3ポイントシュートを狙う形が成立する。
当時のブルズに不足していたシュート力とスペーシングを補う、大きな補強となった。
NBAファイナルで敗れたブルズにとって、次の優勝を目指すうえで重要な戦力となる。
一方のヒートは、現実世界で大きな役割を果たしたアレンの獲得に失敗。
ブルズが強化されるだけでなく、ヒートの戦力も現実世界とは異なるものとなった。
完成動画で観測された世界線
今回のサイコロによって、次の歴史が確定した。
・デリック・ローズがACL断裂を回避
・ブルズがフィラデルフィアを突破
・ブルズがボストンを突破
・ブルズがヒートを4勝3敗で撃破
・ブルズがNBAファイナルへ進出
・サンダーがブルズを4勝2敗で破って優勝
・レイ・アレンがシカゴ・ブルズへ移籍
ローズの怪我が起きなかったことで、2012年のプレーオフだけでなく、その後のFA市場やイースタン・カンファレンスの勢力図も変化した。
ブルズはNBAファイナル進出を果たし、さらにレイ・アレンを加えて次のシーズンへ向かう。
一方、サンダーは若いデュラント、ウェストブルック、ハーデンを中心にNBAチャンピオンとなった。
この結果は、その後に起きるジェームズ・ハーデンの契約問題やトレードにも影響を与える可能性がある。
今回観測した世界線は、ここで終わらない。
まとめ
デリック・ローズが怪我をしなかったとしても、ブルズがすぐに優勝できたとは限りません。
今回観測した世界線では、ブルズはNBAファイナルまで進みながら、オクラホマシティ・サンダーに敗れました。
それでも、健康なローズがブルズをファイナルへ導き、さらにレイ・アレンが加入した未来には、現実世界とは異なる大きな可能性が残されています。
たった一つの出来事が変わるだけで、試合結果だけでなく、選手の移籍、チーム編成、優勝チーム、その後のNBA全体の歴史まで変化していきます。
それが、NBAマルチバースで観測するもう一つのNBA史です。
おまけ|もう一つの世界線「Prototype 001」
完成動画を制作する前には、ローズが怪我を回避した後の数年間を、さらに長くシミュレーションする別のルートも存在していた。
それが、制作初期案の「Prototype 001」。
分岐点は、完成動画と同じ2012年4月28日。
ローズが怪我を回避したブルズは、フィラデルフィアとボストンを突破し、マイアミとのカンファレンスファイナルへ進出した。
完成動画では、2012年のプレーオフとレイ・アレンのFAに焦点を当てている。
一方のPrototype 001では、その後のロスター編成と、数年間にわたるブルズの変化を中心にシミュレーションした。
Prototype 001は正式な動画世界線ではなく、現在のNBAマルチバースの形式が完成する前に作られた初期構想となる。
なお、Prototype 001については、採用された抽選結果は制作資料に残っているものの、サイコロの具体的な出目は記録されていない。
そのため、ここでは当時採用された結果のみを掲載する。
Prototype 001|2012年オフの抽選
最初の抽選には、次の候補が設定されていた。
・オマー・アシクが流出
・オマー・アシクが残留
・カイル・コーバーが残留
・新たな補強路線へ進む
抽選の結果、「オマー・アシク残留」が採用された。
アシクを残したブルズは、ジョアキム・ノアとともにインサイドの守備力を維持。
タージ・ギブソンも含めたフロントコートの厚みを残しながら、健康なローズを中心に2012-13シーズンを戦った。
Prototype 001|2012-13シーズン
この世界線のブルズは、2012-13シーズンを58勝24敗で終了した。
再びイースト上位に入り、カンファレンスファイナルまで進出。
しかし、このシーズンは優勝には届かなかった。
ローズが健康であっても、すぐにすべてが好転するわけではなく、ブルズは「優勝まであと一歩」という結果でシーズンを終えた。
Prototype 001|ブーザーのトレード
次の抽選では、カルロス・ブーザーのトレードを対象とした。
抽選の結果、フェニックス・サンズとのトレード案が採用された。
ブルズが獲得したのは、次の2選手。
・マーキーフ・モリス
・ジャレッド・ダドリー
モリスは若さとサイズを持つフォワード。
ダドリーはアウトサイドシュートと安定したプレーが期待できるウイング。
ブーザーを放出し、ローズを中心としたチームに若さ、守備、シュート力を加えるロスター再編となった。
Prototype 001|2013-14シーズン
再編されたブルズは、マイアミ・ヒート、インディアナ・ペイサーズと並ぶイーストの三強となった。
カンファレンスファイナルでは、再びマイアミと対戦。
第7戦までもつれたシリーズをブルズが制し、NBAファイナルへ進出した。
ファイナルの相手は、サンアントニオ・スパーズ。
この世界線では、ブルズがスパーズを破り、NBAチャンピオンに輝いた。
ファイナルMVPはデリック・ローズ。
現実世界とは異なり、健康なローズが数年間の挑戦とロスター再編を経て、ブルズを優勝へ導いた。
Prototype 001で観測された歴史
・ローズが2012年の怪我を回避
・ブルズがPHIとBOSを突破
・オマー・アシクがブルズに残留
・2012-13シーズンを58勝24敗で終了
・ブルズがカンファレンスファイナルへ進出
・カルロス・ブーザーをフェニックスへトレード
・マーキーフ・モリスとジャレッド・ダドリーを獲得
・2013-14シーズンにマイアミを第7戦で撃破
・NBAファイナルでサンアントニオを撃破
・シカゴ・ブルズがNBAチャンピオン
・ファイナルMVPはデリック・ローズ
最後に
今回新たに始めたNBAマルチバース、いかがだったでしょうか。
最初は個人的に思い入れのあるデリック・ローズを取り扱ってみました。
現実でも彼はリハビリの期間を経てコートに復帰し、MIN時代には50点ゲームでチームを勝利に導き、泣かせる活躍を見せてくれました。
今後もこの企画を通じて、いろんな世界戦を楽しんでいきたいと思います。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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