
リムランナーとは?
NBAを見ていると、ピック&ロールからビッグマンがリングへ走り、アリウープやダンクを決める場面があります。
スクリーンをかける。
そのままリングへ向かう。
ボールハンドラーからパスを受けてフィニッシュする。
こうしたプレーを見ると、
「リムランナー=リングへ走ってダンクする選手」
というイメージを持つかもしれません。
しかし、リムランナーの仕事は、自分が得点することだけではありません。
リングへ走る。
その動きを守備が警戒する。
すると、ボールハンドラーが攻めやすくなったり、外にいる味方へスペースが生まれたりします。
つまりリムランナーは、
「リングへ走ることで、オフェンス全体に影響を与える選手」
とも言えます。

NBAの見方 #6|リムランナーとは? ダンクだけじゃない「リングへ走る」役割を解説
パスを受けなくても仕事をしている
リムランナーを見るときに覚えておきたいのが、
「パスを受けなくても、そのランには意味がある」
ということです。
例えば、ピック&ロールからビッグマンがリングへ走ったとします。
守備側は、そのまま放っておけばロブやダンクを許してしまいます。
そのため、リングへ向かう選手を誰かが止めなければなりません。
すると、守備はゴール方向へ動きます。
その一歩によって、
ボールハンドラーのドライブコースが空く。
コーナーのシューターがフリーになる。
別の味方へパスを出しやすくなる。
こうしたことが起こります。
リムランナー自身には得点もアシストも記録されないかもしれません。
それでも、そのランによって守備を動かせているのであれば、オフェンスには大きく貢献しています。

クリス・アンダーセン|ロールプレイヤーから見るリムランナー
以前の「NBAの見方 #3|ロールプレイヤーとは?」でも紹介したのが、クリス・アンダーセンです。
アンダーセンは、自分でボールを長く持って攻撃を作るタイプではありませんでした。
スクリーンをかける。
リングへ走る。
ロブを受ける。
オフェンスリバウンドへ飛び込む。
そうした仕事を担当していました。
ロールプレイヤーには、チームによってさまざまな役割があります。
その中でも、リングへ向かって走ることを大きな武器としている選手が、今回紹介するリムランナーです。
ここからは、タイプの違う3人を見ていきます。
クリント・カペラ|王道のC型リムランナー
まず紹介したいのが、クリント・カペラです。
ヒューストン・ロケッツ時代のカペラは、ジェームズ・ハーデンとのピック&ロールで非常に分かりやすいリムランナーの役割を担っていました。
カペラがスクリーンをかける。
ハーデンがスクリーンを使ってドライブする。
その後、カペラはリングへ向かってロールします。
ここで守備側には難しい判断が生まれます。
ハーデンを止めるのか。
それとも、リングへ向かうカペラを止めるのか。
カペラを警戒して守備が下がれば、ハーデンがそのまま攻めるスペースができます。
逆にハーデンへ守備が集まれば、カペラへのロブが空きます。
これが、リムランナーがボールハンドラーと作る基本的な関係です。

カペラが走ることで、ハーデンが得点する
ここで注目したいのは、カペラが必ずパスを受ける必要はないことです。
カペラがリングへダイブする。
すると、守備側のビッグマンはカペラへのロブを警戒します。
その結果、ハーデンのドライブコースが空く。
カペラにはパスが出ていない。
それでも、カペラがリングへ走ったことでハーデンの得点が生まれています。
こうしたプレーを見ると、
「誰がシュートを決めたか」
だけでは分からないリムランナーの価値が見えてきます。
ハーデンのレイアップの少し前に、
誰がリングへ走って守備を動かしたのか。
そこまで見ると、ピック&ロールがさらに面白くなります。
ハーデン×カペラ×P.J.タッカー
さらに、当時のロケッツにはP.J.タッカーがいました。
以前の「NBAの見方 #4|3&Dとは?」でも紹介したように、タッカーは外からスリーポイントを狙える選手です。
ハーデンがボールを持つ。
カペラがリングへ走る。
そして、タッカーが外で待つ。
この配置になると、守備はさらに難しい判断を迫られます。
カペラを止めるためにリングへ寄れば、外のタッカーが空く。
タッカーを警戒して外へ残れば、カペラへのロブを止めにくくなる。
そして、その間をハーデンが攻めます。

リムランナーは、自分とボールハンドラーだけで完結する役割ではありません。
外にシューターがいることで、そのランの価値がさらに大きくなることがあります。
ジョン・コリンズ|PF型のリムランナー
続いて紹介するのが、ジョン・コリンズです。
カペラがセンター型の王道リムランナーだとすれば、コリンズはパワーフォワード型として見ることができます。
アトランタ・ホークスでは、トレイ・ヤングとのコンビで多くのロブを決めました。

トレイ・ヤングは、遠い位置からでもシュートを狙えるボールハンドラーです。
そのため、守備側は高い位置までヤングを警戒しなければなりません。
そこでコリンズがスクリーンをかけ、素早くリングへ向かいます。
守備がヤングへ出る。
その背後へコリンズが走る。
そして、ヤングからロブが飛んでくる。
ボールハンドラーのシュートレンジと、リムランナーの機動力が組み合わさった形です。

カペラとコリンズの違い
カペラとコリンズは、どちらもリングへ走る選手です。
しかし、その特徴は少し違います。
カペラは、センターとしてスクリーンをかけ、そのままリングへ向かう王道のピック&ロール型。
サイズを使いながら、リング付近でロブやダンクを狙います。
一方のコリンズは、パワーフォワードらしい機動力を持っています。
素早く角度を変えながらリングへ入り、一気にフィニッシュまで持っていく。
同じリムランナーでも、
サイズを使うのか。
スピードを使うのか。
どの位置からリングへ向かうのか。
選手によって走り方は変わります。

デレック・ライブリーII|P&Rでもトランジションでも走る
最後に紹介するのが、デレック・ライブリーIIです。
ダラス・マーベリックスでは、ルカ・ドンチッチとのコンビでリムランナーとしての特徴を見せました。
ドンチッチは、自分で得点することも、味方へパスを出すこともできるボールハンドラーです。
そのため、守備はドンチッチへ強く意識を向けなければなりません。
そこでライブリーがリングへロールします。
ドンチッチへ守備が集まれば、その背後が空く。
そこへライブリーが走り、ロブを受けます。
この形も、ボールハンドラーの引力とリムランナーの動きが組み合わさったプレーです。

ドンチッチの引力がライブリーを活かす
ライブリーを見るときには、ライブリーだけを見る必要はありません。
ドンチッチへ何人の守備が寄っているのかにも注目してみてください。
ドンチッチがボールを持つ。
一人目のディフェンダーが対応する。
さらに別のディフェンダーまでドンチッチへ意識を向ける。
すると、その背後にはスペースが生まれます。

そこへライブリーが走る。
ドンチッチは、そのスペースへロブを送ります。
ライブリーのフィニッシュは派手ですが、その少し前を見ると、
「なぜライブリーが空いたのか」
が分かります。
リムランナーは、優れたボールハンドラーと組み合わさることで、さらに大きな脅威になります。
トランジションでもリングへ走る
ライブリーの特徴は、ハーフコートのピック&ロールだけではありません。
攻守が切り替わった瞬間にもリングへ走ります。
相手の攻撃が終わる。
味方がボールを確保する。
その瞬間、ライブリーはリングへ向かって走り始めます。
守備側がまだマッチアップを整理できていない間に先へ走ることで、ロングパスやロブを狙うことができます。

これは、ハーフコートのピック&ロールとは少し違ったリムランの形です。
守備が整う前に走る。
相手に考える時間を与えない。
そして、リングへプレッシャーをかける。
「リムランナー」という名前を最もそのまま表現しているプレーとも言えます。
3タイプのリムランナー
今回紹介した3人を整理してみます。
クリント・カペラは、王道のセンター型。
ジェームズ・ハーデンとのピック&ロールから、まっすぐリングへ向かいます。
ジョン・コリンズは、機動力を持つパワーフォワード型。
トレイ・ヤングとのコンビで、素早く守備の背後へ入ります。
デレック・ライブリーIIは、ピック&ロールに加えてトランジションでもリングへ走るタイプ。
ルカ・ドンチッチの引力を利用しながら、攻守が変わった瞬間にもゴールへ向かいます。
同じリムランナーでも、リングへの入り方は一つではありません。

リムランナーを見るときのポイント
では、実際にNBAを見るときは、どこに注目すればいいのでしょうか。
スクリーンのあと、どこへ動いた?
まずピック&ロールが始まったら、ボールだけではなくスクリーンをかけた選手を見てみてください。
スクリーンのあと、その場に残ったのか。
外へ開いたのか。
それともリングへ向かったのか。
リングへ向かっていれば、その選手がリムランナーとして守備へプレッシャーをかけています。
誰がリングへヘルプした?
次に、リムランナーが走ったことで守備がどう動いたかを見ます。
誰がリング方向へ寄ったのか。
ボールハンドラーを守っていた選手とは別のディフェンダーが動いたのか。
ここを見ると、リムランナーがどこにスペースを作ったのかが分かります。
攻守が変わった瞬間、誰が走った?
トランジションでは、ボールだけを追うのではなく、先にリングへ走っている選手にも注目してみてください。
まだボールを持っていなくても、先にリングへ向かう。
その動きによって守備が下がり、後ろから来るボールハンドラーにもスペースが生まれることがあります。

ボールではなく「走っている選手」を見てみよう
リムランナーを見るとき、ダンクやアリウープは分かりやすい見せ場です。
しかし、本当に注目したいのは、その少し前です。
スクリーンをかける。
リングへ走る。
守備がその動きに反応する。
そして、別の場所にスペースが生まれる。
リムランナー自身にパスが来ないこともあります。
ダンクをしないこともあります。
それでも、そのランによって守備が動けば、オフェンスにはすでに影響を与えています。

次にNBAを見るときは、ボールを持っている選手だけではなく、
「スクリーンのあと、誰がリングへ走っているのか」
にも注目してみてください。
得点には直接残らない、リムランナーの仕事が見えてくるかもしれません。
最後に
NBAの見方シリーズの第6弾です。
ちょっと短めの内容になりましたが、前回のリムプロテクター、そして次回作成予定のストレッチビッグなんかと組み合わせていくとビッグマンポジションへの解像度が上がってNBA観戦楽しくなると思います。
前回のエピソード同様、ハイライトを探すのが大変でしたが、この作業していることで各チームのyoutubeへの取り組み方が色々見えて面白いです。
最後までご覧いただきありがとうございました。
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